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福岡地方裁判所 昭和39年(わ)687号 判決 1973年5月22日

被告人 上村洋 外五名

主文

一、1 被告人上村洋、同秋根康之をそれぞれ罰金一〇、〇〇〇円に、被告人柿本和夫を罰金八、〇〇〇円に処する。

2 被告人上村洋、同秋根康之および同柿本和夫において、右各罰金を完納することができないときは、それぞれ金一、〇〇〇円を一日に換算した期間、不完納の被告人を労役場に留置する。

3 訴訟費用(略)

二、1 被告人筑紫建彦、同久保善博および同角文隆はいずれも無罪。

2 本件公訴事実のうち、被告人上村洋が筑紫建彦、久保善博ら学生約七〇〇名と共謀のうえ、昭和三八年五月二〇日に福岡市内の道路上において集団示威行進をするに際し、六ないし一二列位の縦隊行進をし、また九〇メートル位にわたり蛇行進を行ない、もつて所轄警察署長の付した道路使用許可の条件に違反したとの点については、被告人上村洋は無罪。

3 本件公訴事実のうち、被告人上村洋および同柿本和夫が角文隆ら学生約七〇〇名と共謀のうえ、昭和三八年五月三一日に福岡市内の道路上において集団示威行進をするに際し、六ないし一〇列位の縦隊行進をし、もつて所轄警察署長の付した道路使用許可の条件に違反したとの点については、被告人上村洋および同柿本和夫はいずれも無罪。

4 本件公訴事実のうち、被告人秋根康之が筑紫建彦ら学生約二三〇名と共謀のうえ、昭和三八年一〇月三一日に福岡市内の道路上において集団示威行進をするに際し、六ないし一〇列位の縦隊行進をし、もつて所轄警察署長の付した道路使用許可の条件に違反したとの点、ならびに、同被告人が学生ら約一〇〇名と共謀のうえ、昭和三八年一一月一一日に福岡市内の道路上において集団示威行進をするに際し、五ないし八列位の縦隊行進をし、また四〇メートル位にわたり蛇行進を行ない、もつて所轄警察署長の付した道路使用許可の条件に違反したとの点については、被告人秋根康之は無罪。

理由

第一部有罪部分の理由

(罪となるべき事実)

第一、被告人上村洋および同柿本和夫は、昭和三七年一二月八日午後二時四〇分ごろから同四時半ごろまでの間、九州大学学友会が主催し同大学の学生ら約一、〇〇〇名が参加して行なわれたいわゆる大学管理法の制定に反対の意思を表明することを目的とする、福岡市警固法印殿所在の警固公園から同市紺屋町三差路を経て、万町交差点から国道二〇二号線を東進し、天神町交差点を通り、因幡町交差点から南進し、同市渡辺通り六丁目所在の西日本新聞社前で左折、同市薬院堀端所在の自由民主党福岡県支部連合会事務所前から北進し、再び国道二〇二号線に入つて東進し、同市東中洲を経て同市呉服町交差点に至る間の道路上での集団示威行進に際し、被告人上村においてはその隊列先頭の列外附近に位置して手や笛で合図をしたり、隊列先頭部分が横に構えて携行する竹竿を掴んで隊列を誘導したりし、また、被告人柿本においてはその隊列先頭附近の側方に位置して笛等で隊列を誘導するなどして、右行進に参加していたが、右行進については福岡県福岡警察署長からその道路使用を許可するにあたり「蛇行進はこれを禁止する」との条件が付されていたにもかかわらず、前記学生ら約一、〇〇〇名と共謀して、(1)同日午後三時過ぎごろ、前記西日本新聞社前附近から前記自由民主党福岡県支部連合会事務所前を経て、その北側に位置する福岡県町村会館西側に至るまでの道路上約一三〇メートルにわたり、右行進の隊列とともにその道路幅員一杯に左右に揺れ動いて蛇行進を行ない、(2)同日午後三時五五分ごろから同四時ごろまでの間、同市東中洲二六〇番地所在の金星堂書店前から同二三九番地三春堂菓子店前に至る道路(国道二〇二号線)上約一一〇メートルにわたり、右行進の隊列とともに車道左側端から道路中央の西鉄市内電車軌道敷西行線上に至る位の幅で左右に揺れ動いて蛇行進を行ない、(3)同日午後四時一四分ごろ、同市上西町所在の第一銀行前から同市上呉服町所在の第一生命ビル前に至る道路(国道二〇二号線)上約五〇メートルにわたり、右行進の隊列とともに右(2)と同様の幅で左右に揺れ動いて蛇行進を行ない、もつて、所轄警察署長が道路の使用の許可にあたり付した条件に違反した。

第二、被告人秋根康之は、昭和三九年四月二八日午後三時前ごろから同三時四〇分ごろまでの間、九州地方学生自治会総連合が主催し同傘下の学生ら約二〇〇名が参加して行なわれたいわゆる日韓会談等に反対の意思を表明することを目的とする、福岡市大濠公園所在の児童遊園地から同市荒戸町を経て、国道二〇二号線を東進し、天神町交差点を通り、因幡町交差点から南進し、西日本新聞社前で左折して同市薬院堀端七番地所在の自由民主党福岡県支部連合会事務所前に至る道路上での集団示威行進に際し、その隊列先頭列外に位置して隊列に正対し、笛による合図などで誘導するなどして、右行進に参加していたが、右行進については福岡県西福岡警察署長からその道路使用を許可するにあたり「蛇行進をしないこと」との条件が付されていたにもかかわらず、前記学生ら約二〇〇名と共謀して、同日午後三時一五分ごろの約五分間、同市天神町交差点中央附近から因幡町交差点に至る道路(国道二〇二号線)上約一一〇メートルにわたり、右行進の隊列とともに車道左側端から道路中央の西鉄市内電車軌道敷西行線上に至る位の幅で左右に揺れ動いて蛇行進を行ない、もつて所轄警察署長が道路の使用の許可にあたり付した条件に違反した。

(証拠の標目)(略)

(法令の適用)

被告人上村洋に対し

判示第一の所為 包括して刑法六〇条、道路交通法一一九条一項一三号、七七条三項、一項四号、福岡県道路交通法施行細則(昭和四七年福岡県公安委員会規則七号)附則三項、同規則による廃止前の福岡県道路交通法施行細則(昭和三五年福岡県公安委員会規則一〇号)一二条一号

刑種の選択   罰金刑を選択

主刑      罰金一〇、〇〇〇円

労役場留置   刑法一八条(金一、〇〇〇円を一日に換算)

訴訟費用    刑事訴訟法一八一条一項本文(以下略)

被告人柿本和夫に対し

判示第一の所為 包括して刑法六〇条、道路交通法一一九条一項一三号、七七条三項、一項四号、福岡県道路交通法施行細則(昭和四七年福岡県公安委員会規則七号)附則三項、同規則による廃止前の福岡県道路交通法施行細則(昭和三五年福岡県公安委員会規則一〇号)一二条一号

刑種の選択   罰金刑を選択

主刑      罰金八、〇〇〇円

労役場留置   刑法一八条(金一、〇〇〇円を一日に換算)

訴訟費用    刑事訴訟法一八一条一項本文(以下略)

被告人秋根康之に対し

判示第二の所為 刑法六〇条、道路交通法一一九条一項一三号、七七条三項、一項四号、福岡県道路交通法施行細則(昭和四七年福岡県公安委員会規則七号)附則三項、同規則による廃止前の福岡県道路交通法施行細則(昭和三五年福岡県公安委員会規則一〇号)一二条一号

刑種の選択   罰金刑を選択

主刑      罰金一〇、〇〇〇円

労役場留置   刑法一八条(金一、〇〇〇円を一日に換算)

訴訟費用    刑事訴訟法一八一条一項本文(以下略)

(弁護人等の主張に対する判断)

一、弁護人らおよび被告人らは、本件において、集団行進について警察署長による道路の使用の許可を受けなければならないと定める道路交通法(以下「道交法」という。)七七条一項四号、福岡県道路交通法施行細則(昭和三五年福岡県公安委員会規則一〇号、昭和四七年福岡県公安委員会規則七号附則三項により本件に適用あるもの、以下「細則」という。)一二条一号が集団示威行進(以下「デモ行進」という。)に適用があるとすることは、(1)本質的に、現代社会において市民が自己の政治的、経済的主張や意見などを表明するほとんど唯一の手段であるデモ行進を一般的に禁止し、取締当局である警察署長の許可を受けてはじめてなしうるとするものであつて、憲法二一条によつて保障される表現の自由に対し事前の規制を加えることを意味し、(2)道交法七七条三項に基づいて警察署長が許可に際し数多くの条件を付しうることにより、実質的にデモ行進の効果を無にすることが可能となり、(3)現に道交法違反(条件違反)の取締りを口実に、多数の警察官が採証等に名を借りてデモ行進につきまとうなどして、その主張や意見などの自由な表明に制肘を加え、さらにはこれに参加する個人の身体に対し暴力を揮つて弾圧を加えるということまで行われているから、結局、憲法二一条に違反し、従つて、右適用のあることを前提とする許可条件違反の罪は成立する余地がない旨主張する。そこで、以下この点検討する。

(1) デモ行進は、本質的に、道交法七七条一項四号によつて道路使用の許可を要する行為とならないものであるとの主張について

デモ行進は、参加者数人程度の極めて小規模なものを除けば、通常、多数の参加者が隊列を組んで道路の相当な部分をかなりの長距離にわたつて使用するものであるから、当該道路における日常の交通状況に比し、とりわけ車両等の交通に渋滞や混乱を生じさせることが多いなど、他の交通に相当大きな影響を及ぼすものであることは経験則上明らかである。しかし一方、デモ行進、集会その他の集団行動も、現代社会においては、自己の政治的、経済的主張や意見等を社会的に表明し、訴えかける手段の一つとして重要な機能を果たし、憲法二一条がその自由を保障する表現行為の一種であることはいうまでもない。従つて、デモ行進によつて表明しようとする政治的主張等の内容について事前の規制を加えることは許されないし、その内容によつてあるデモ行進を許し他のデモ行進を許さないなどの差別的取扱いをしてはならないことももとより、右のように他の交通とりわけ自動車の交通が渋滞するとの一事をもつて当該道路におけるデモ行進を全面的に禁止するということも許されない。その意味では、デモ行進は自由である。しかしさらにひるがえつて、デモ行進に限らず一切の表現行為も、表現行為であるというだけで絶対無制約的に行動の自由を持つということができないのも当然であり、とりわけその手段たる外形的行為については、これが他の種々の社会的活動と接触し、または利害関係と牴触を生ずることが多いだけに、「表現の自由」の名のもとに他のすべての行為に対しおのれのみの存在を主張することが許されないのは明らかである。この理は、道路の使用の面においても同じである。道路は、他の一般の交通、例えば通勤、商用、社交、買物、散策などの目的でする歩行者の通行、企業活動としての貨物の運搬、災害や犯罪の発生による緊急要員の出動などさまざまな目的で、また、歩行、自転車、自動車、路面電車などさまざまの手段による交通がその場を利用している。そして、これら一般の交通も、憲法的見地からみれば、最大限尊重さるべき生命や身体の健康の維持、憲法上保障される財産権の行使、自由権や生存権の名のもとに保障される種々の社会的活動として行なわれるものであるから、デモ行進が他の交通の円滑を阻害するとの理由ではデモ行進のための道路の使用を排除できないのと全く同一の理で、デモ行進のために他の交通が一切その道を譲るべきだということができないのも明らかである。

してみれば、右のようなさまざまな目的、手段で行なわれる道路上の交通に関し、一般的に「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的」として制定された道交法が、デモ行進に対してもそれが道路上の一種の交通であるという面において、これを規制するための法として適用されることはいわば当然の事理といわなければならない。そして、デモ行進は、道交法の本来予想する通行方法としては「歩行」でありながら、前に述べたとおり「集団示威」のための行進という本質上、多数人が一定の隊列を組んで歩行することを必要とし、その結果他の一般の交通とりわけ自動車の交通に重大な影響を及ぼすことが通常予期されるのであるから、デモ行進の行なわれる道路における全体としての交通の安全や円滑を図るために、これを一般の歩行者の通行とは異なる交通規制に服せしめるということも合理的な理由のあるところである。すなわち、デモ行進についても、右のような見地から、一般交通と型態を異にするため日常の交通に重大な影響を及ぼすような他の各種道路使用行為とならんで、その道路使用を警察署長の許可にかからしめるとすることは、それが表現行為の一つであるデモ行進の自由を本来的に奪うものでなく、デモ行進が他の表現行為と区別される本質である「集団示威」の要素を害ねるものでなく、かつ、その表現内容(主張内容)に干渉や規制を加えるものでない限り、なんら憲法二一条の表現の自由の保障に対する侵害とはならないというべきである。

そこで、具体的に、道交法七七条一項四号、細則一二条一号に基づく福岡県におけるデモ行進のための道路の使用許可制が右のような憲法の許容する許可制かどうか考えるのに、道交法七七条一項四号は、「道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の型態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたもの」と規定して、公安委員会が許可を要すると定めうるのは、あくまで道路における交通の安全と円滑を図るという目的のためのみであることを明らかにし、細則一二条一号は、これに基づいて、「法第七七条第一項第四号に規定する警察署長の許可を受けなければならない行為」の一個として集団行進を規定しているのであるから、本件許可制がデモ行進の表現行為としての側面になんら触れるものでないことが明らかである。そして、道交法七七条二項は、一項により許可を要するとされる行為について、申請があつたときは許可することが義務づけられる三つの場合を規定しているところ、デモ行進が前記のように単に表現行為の一種であるのみならず、政治的、経済的主張や意見等の表明手段として社会的に重要な機能を果たしていることを考えれば、デモ行進は、同項三号に定める「現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき」にあたり、それがどんなに他の交通を阻害しようとも、同条三項による条件を付することを通じて一定の調整措置を講じることができるのは格別、デモ行進そのものを不許可にすることはできない(ただし、進路として予定された道路が工事中などの理由で使用不能にある等特別の事情が存在する場合は別である。)と解されるから、一項による許可がデモ行進の自由を本来的に奪うものでないこともいうまでもない。さらに、同条三項により警察署長が許可に際し付することのできる条件も、同項に規定するとおり「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件」に限られているから、右条件が当該デモ行進によつて主張しようとする意見の内容に干渉するようなものではもとよりありえず、また、デモ行進が右のように二項三号に該当するものである以上、交通の安全と円滑を図るための条件であつても、それによりデモ行進の本質である「集団示威」の要素を奪う結果となる条件は付しえない(二項二号と対比せよ)と解されるから、結局、許可に際し条件を付しうることによつて、表現行為としてのデモ行進の自由を規制するための許可制となるものでもない。

従つて結局、デモ行進について道交法七七条一項四号、細則一二条一号による道路使用の許可を必要とすることが、そもそも本質的に憲法二一条に違反するとの弁護人の主張は失当である。

(2) 警察署長の付する条件がデモ行進による表現の自由を侵害しているとの主張について

道交法七七条三項により警察署長がデモ行進の許可に際し付しうる条件については、道交法上明確な制約のあること、また、その制約があると解されるために許可制をとること自体の合憲性が肯定できることは、右(1)に述べたとおりであるが、本件において現実に所轄警察署長らが付した条件が右(1)に述べたような要件に合致するものであるかどうかを次に検討しなければならない。

(イ) 判示第一のデモ行進について付された条件は、証拠番号四、(一)1によれば、別紙二許可条件一覧表(以下「許可条件表」という。)一記載のとおりであり、判示第二のデモ行進について付された条件は、証拠番号四、(六)52によれば、許可条件表六記載のとおりである。なお、後記無罪と判断した各訴因にかかるデモ行進についての条件も、証拠番号四、(二)12、(三)23、(四)36および(五)47により、それぞれ許可条件表二ないし五記載のとおりと認められる。

(ロ) まず、本件各条件違反の罪の犯罪構成要素となつた「蛇行進」を禁止する旨の条件(許可条件表一(3)および六(3)、なお同表二(2)、三の1(2)、四(3)、五(4)参照)について考えると、蛇行進とは隊列が左右に揺れて波形を作りながら一定距離進行する行進型態であつて、さほどその揺れの角度の急でないものと定義されるところ、このような行進型態は通常の場合、整然とした隊列を組んで直進する行進に比べて、他の一般の交通を阻害する程度が著しく、かつ、隊列全体が波動するため、波形の内側となる列と外側となる列の進行速度に差を生じ、そのためいわゆるはずみがついて波動の幅が予期以上に大きくなつたり、行進者の一部が列外にはみ出すなどの事態も生じることがあつて、他の交通のみならずデモ行進自体に不測の混乱や危険を生じさせるおそれのあることが経験則上肯定できる。そして、証拠の標目挙示の各証拠によれば、本件各デモ行進の進路の主要かつ最長の部分は、福岡市の商業や行政の中心的市街地を貫通する幹線道路であつて、路面電車が走り、本件当時(昭和三七年ないし昭和三九年)においても自動車の交通がかなり多かつた国道二〇二号線であつたことが認められる(後記各無罪と判断した各訴因にかかる各デモ行進の進路も、証拠関係一覧表掲記の関係各証拠によれば、同じく国道二〇二号線がその主要かつ最長の進路部分である)から、このような交通条件に照らし、右のような他の一般交通に著しい混乱や危険を生じさせるおそれの大きい蛇行進を禁止した警察署長の措置は合理的根拠を持つというべきである。さらに、蛇行進は、デモ行進の集団として威力を示す行動として効果のあることは肯定できるものの、蛇行進が一般的にデモ行進の本来的ないし常時随伴する行進型態であるとはいいえないし、また、これが禁止されても「集団示威」の目的を達成することができないとも認められないから、蛇行進禁止の条件がデモ行進の本質を害ねる条件ということもできない。従つて、結局蛇行進禁止の条件は、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため」の必要な条件として合理的であり、なんら違憲無効のものではないし、この条件の存在によつて許可制そのものが違憲となるものでももとよりない。(なお、判示第一の犯行のうち(1)の蛇行進は判示のとおり国道二〇二号線以外の道路上で行なわれているが、許可条件違反の罪は、現実に交通の妨害を生じたかどうかを問わず成立する形式犯であるから、蛇行進禁止の条件が有効に付しうる以上、その条件を付する基礎たる交通状況と多少異なる状況のもとで蛇行進が行なわれたかどうかは、犯罪の成否になんら影響するものではない。)

(ハ) もつとも、右のように蛇行進禁止という条件は有効であつても、これは一のデモ行進について付された多数の条件のうちの一個であるから、他の条件いかんによつては条件の付し方全体が違法(憲)となると考える余地もないではないので、判示各犯行の構成要素となるものではないが他の各条件についてもここで検討を加えることとする(ここでは、後記無罪と判断した各訴因にかかる各デモ行進についての許可条件も一括して検討する。)。

まず、隊列を四列縦隊と定めた条件(許可条件表一(1)、二(1)、三の1(1)、四(2)、五(3)、六(1))については、隊列と梯団の組み方は、デモ行進にいわば本質的な要素であり、一方で「集団示威」という要素に大きく影響するとともに、他方で他の一般交通に対する影響もこれによつて大きく左右される。その意味で、「交通の安全と円滑」という見地から隊列に関して条件を付すること自体は、道交法七七条三項の許容するところといわなければならないが、他の一般交通――主として自動車の交通であるが――の円滑のみを重視して、デモ行進が前記のとおり本来的に他の一般交通に妨害となるおそれのある行為であるがその本質上そのための道路使用が許容されなければならない行為であることを無視するような条件を付することは、道交法七七条三項の委任の限度を超え、極端な場合デモ行進をデモ行進として構成しえないような条件であれば、事実上これを禁止するものとして憲法二一条に違反する場合もあろう。

ところで、本件の場合、各デモ行進ともその進路の主要かつ最長の部分は、前記のとおり国道二〇二号線であるところ、証拠番号四(一)2、3、(二)13、14、15(六)53の各証拠を総合すれば、判示第一のデモ行進を除く各デモ行進において国道二〇二号線に始めて入る福岡市荒戸町から全部のデモ行進において解散地点と定められていた同市呉服町交差点までの距離は、約三・二キロメートルで、万町交差点において北方にやや折れるほかは東西にほぼ一直線に走る平坦な舗装道路であり、その全長にわたり道路中央に幅約四・四メートルないし約四・九メートルの西鉄市内電車(路面電車)の軌道敷が走り、その両側に車道さらにその外側に歩道が設けられ、各デモ行進の進行した道路左側部分は荒戸町三差路交差点から赤坂門交差点までは最狭約五・七メートルから最広約八・五メートルの車道と四メートル前後の歩道から成り、赤坂門交差点から因幡町交差点までは最狭約四・六メートルから最大約五・九メートルの車道と前同様の幅の歩道、因幡町交差点から西大橋附近までは最狭約四・四メートルから最広約六・一メートルの車道と前同様の幅の歩道、西大橋附近から呉服町交差点までは平均約六メートルの車道と、断続的に設けられた前同様の幅の歩道とから成つていた事実、また、右進路上で最も交通量の多い天神町交差点における昭和三八年六月二一日午後三時半から同四時半までの一時間の全交通量は歩行者約六、五〇〇人、路面電車一五八台、その他の車両約四、九〇〇台であつた事実が認められる。そして、本件各デモ行進における隊列は、現実には後記認定のとおり六列ないし一〇列(主要部分はほぼ八列)であつたため、国道二〇二号線の進行にあたつてはその全長近くにわたり軌道敷左側の車道をほぼ一杯に使用する結果となつた事実が認められ、また、証拠番号四、(一)11、(二)20、(三)29の各証拠などによれば、その結果、同方向に進行する自動車の流れはかなりの影響を受け、とりわけ蛇行進が行なわれたときには相当激しい渋滞を生じたことも窺われるが、通常の縦隊行進の際には自動車が軌道敷部分を使つてデモ隊列を追い越すことが可能であつたため、一応自動車の交通は流れ、それが完全に痳痺したといいうるまでの激しい渋滞や混乱は生じていない事実も認定できる。そこで、右認定のような道路状況や交通量(なお、国道二〇二号線の社会的性格は前記(ロ)で述べたとおりである)、現実の隊列とそれにより影響を受けた交通の状況などに照らし、四列縦隊という隊列の条件の合理性について考えると、証拠番号三、(一)2、(二)22、(三)47の各証拠などによれば、所轄警察署長としては右のように国道二〇二号線の左側車道の幅が平均約五メートルであるところから、デモ行進において一人の参加者の占有する幅を〇・六ないし〇・八メートルと想定し、四列であれば二・四ないし三・二メートルの幅でデモ行進が進むこととなり、従つて残りの二・六ないし一・八メートルの幅(約一車線)を自動車が進行できるとの考え方に基づいて四列と定めたものと窺えるが、「交通の安全と円滑」のために必要な条件とは、当該道路における一般交通をデモ行進の進行にかかわらず日常の流れと同一水準に保つための条件を意味するのではなく、前記のようにデモ行進が本来的に他の一般交通にある程度の支障を生じるものであることを前提としたうえで、いいかえればデモ行進が政治的、経済的主張等を表明する表現行為として社会的に重要な機能を果たしていることから、他の一般交通もデモ行進参加者らのそのような権利行使を尊重し、これにより自己の交通の利便が多少害われることを受忍する義務のあることを前提として、右のような一般交通の受忍義務の限度を越える交通妨害を防止するために必要な条件と解されるから、前記認定のとおりかなり幅員の広い本件道路において、現今に比較すれば自動車交通にとつては天国ともいうべき前記程度の交通量で、かつ、前記認定のとおり軌道敷を利用すれば自動車がデモ隊列を追越すことが可能な状況のもとでなお同一方向に進む自動車がデモ隊列と並列進行できるための一車線を確保しておくことが、「交通の安全と円滑」のために必要であつたとは直ちには考えられない。むしろ、前述したように条件がデモ行進の「集団示威」という本質的要素を奪うようなものであつてはならないということを考えるに、デモ行進の規模とも密接に関連する隊列については、いわば当該表現行為の主体であるその主催者の意図を十分に尊重する必要があるというべきところ、証拠番号三、(一)2(二)22、(三)47、(七)69 70 71の各証拠によれば、所轄警察署長が隊列の条件を定めるについてデモ行進の主催者の意向ないし希望を聴取することなく、自己の判断のみに基いて一律に四列と指定し、デモ行進の参加者数(予定参加者数は、判示第一の犯行の際のデモ行進では二、〇〇〇名、((実際は約一、〇〇〇名))、昭和三八年五月二〇日のそれでは七〇〇名((実際同))、同月三一日のそれは五〇〇名((実際は約七〇〇名))、同年一〇月三一日のそれでは六〇〇名((実際は約二三〇名))、同年一一月一一日のそれは全体として五〇〇名、うち学生一〇〇名((実際同))、昭和三九年四月二八日のそれは一、〇〇〇名((実際は約二〇〇名)))がそれぞれ異なることや、そのデモ行進の行なわれる時間帯の異なることも考慮されていないと窺える点、本件隊列の条件は必ずしも合理性をもつていたものでないことが認められる。そして前記のような現実に行なわれたデモ行進の隊列とこれにより影響を受けた一般交通の状況から考えると、本件各デモ行進の場合、道交法七七条三項に定める「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る」との目的は、現実の隊列がそうであつたように八列程度の隊列(左側車道一杯を使用する程度)という条件を付することで最少限度達しえたものと認められ、前記のようなデモ行進のための道路使用の許可およびこれに附随する条件の本質に照らし、右最少必要限度を越えて付された四列の隊列という条件は、同項の要件を欠く違法なものであつて無効と解せざるをえない。

次に、一梯団の人数を一五〇名ないし三〇〇名と定め、各梯団の間隔を定めた条件(許可条件表一(2)、二(1)、三の1(1)、四(2)、五(6)、六(1))については、デモ行進参加者が多数である場合において、これを梯団に分団しなければ交差点における横断等の関係で著しい交通妨害を来たすおそれの存することは明白であるから、客観的かつ合理的な基準によつてデモ集団をいくつかの梯団に分団するとともに、各梯団の距離を定めること自体は、それが集団を細分化したために「集団示威」の効果を抹殺するようなものでない限り、道交法七七条三項の条件として有効である。しかしながら、梯団の人数や梯団毎の間隔は、隊列を何列とするかということと直接に関連しているところ、本件各デモ行進については、右に述べたように四列と定めた隊列の条件が法の許容する範囲を越える条件として無効と解されるから、隊列の四列を前提として定められた本件各梯団の人数や梯団毎の間隔も条件としては無効となるというほかはない。

第三に、蛇行進と並んで、ジグザグ行進、フランスデモ、渦巻き行進、立停り、坐込みなど交通の妨害となるような行為を禁止する条件(許可条件表一(3)、二(2)、三の1(2)、四(3)、五(4)、六(3))については、前記(ロ)で蛇進行について述べたと同様に、本件各デモ行進の進路である道路の交通条件と、これらの行進型態によつて生じる一般交通の混乱や危険の大きさとを考えるとき、まさに道交法七七条三項の予定するような条件であるということができ、もとより有効である。

第四に、原則として車道左側端寄り(一部右側端寄り)に進行すべきことを定めた条件(許可条件表一(1)、二(4)、三の1(4)、五(3)、六(1))については、もしこの条件がなければ、道交法一一条一項、道交法施行令八条二号により本件各デモ行進とも道路右側端を進行すべきこととなり、第五二回公判調書中の被告人上村洋の供述部分でも述べられているように、国道二〇二号線のように自動車交通のひんぱんな幹線道路で自動車とデモ行進を対面通行させることは、デモ行進参加者に極めて危険な結果を生じるおそれがあると認められるから、その意味ではむしろデモ行進に対する制約ではなくその保護のための条件であつて、もとより有効である(一部右側端寄りの進行を定めた部分も、当該道路の状況に照らし、合理的な根拠があると認められる)。

第五に、旗、竿、プラカード等に関する条件(許可条件表三の1(6)、四(4)、五(5)、六(4))は、昭和三八年一一月一一日のデモ行進に関するそれ(許可条件表五(5))を除けば、いずれもこれらの物を「交通の妨害となるような方法で把持携行しないこと」というものであり、長大な竹竿等を横に倒して隊列の幅を越えるような形で携行したりすれば、単に他の交通を停止、混乱させたりするばかりでなく、一般の歩行者の身体に危険を及ぼすおそれもあるから、道路における危険の防止や交通の安全という見地から右条件も合理的必要性を持つというべく、道交法七七条三項の許容する範囲である。ただ、右一一月一一日のそれの一部に「竹竿等はこれを所持せず」とされているのは、これが長さなどを限定せず、また携行方法のいかんを問わず一切の竹竿等の所持を禁止している点で、単なる道路上の交通の安全という見地以上の、治安目的(いわゆる公安条例などの目的とするそれ)を含むのではないかとの疑いがあり、その意味では道交法の目的を逸脱し無効と解すべき余地が大きい。

第六に現場警察官の指示に従うこととの条件(許可条件表一(4)、二(3)、三の1(3)、四(6)、五(7)、六(5))については、「行進その他については」との限定を付したものと一切の限定が付されていないものがあるが、右限定を付したものを含め、このような条件を付することは、道交法一一九条一項一三号、七七条三項の罪の構成要件を現場における警察官の指示という全く不明確なもので補充する白地刑罰法規を許容することとなり、憲法三一条の法定手続の保障に触れる疑いが濃い。実質的にも、他の条件に従つて適法に行なわれているデモ行進に対し、現場にある一警察官がその遵守されている条件を変更する指示を出すことすら可能にし、その結果デモ行進の本来的な自由を侵害して憲法二一条に違反するおそれもある。従つて、道交法五条二項、六条二項等に定められたような要件を明確にしたり、他の都道府県で公安条例による許可に際し附される条件の例にみられるように「発進、停止、その他行進の整理のために行なう」警察官の指示の範囲を限定したりしたものでない限り、本条件は違憲(法)かつ無効となるであろう。

最後に、その他申請人等が他の許可条件を参加者全員に周知徹底させること、各梯団毎に責任者を置くこと、責任者は腕章をつけることなどという事項が条件として各許可書に記載されているが、これらの事項は、その名宛人(条件違反の罪が成立するとすれば犯人となるべき者)の範囲が明確でなく、また義務違反となる行為の要件(条件違反の罪が成立するとすれば構成要件)が余りにも漠然とし、犯罪構成要素たる条件としてはその効力を有しないと考えられるので、むしろこれは一種の行政指導にすぎないものというべきであろう。(昭和三八年一一月一一日のデモ行進にかかる条件のうち、集会に関するもの((許可条件表五(1)、(2)))は、本件と全く関係ないので、ここでは触れない。)

(ニ)  以上検討した結果、本件各デモ行進の許可に際し付された条件の一部には、道交法七七条三項に定める要件を逸脱して無効と解すべきものがあり、その一、二は直接的に憲法に違反する疑いの存するものがあるのであるが、これを全体としてみれば、右無効と解される各条件も、その大半が条件としては道交法七七条三項に則り有効に付しうる条件であつて、ただ内容的に法の許容する限度を越えたと考えられるにすぎず、これらの条件の存在によつて本件各デモ行進がその本質を失わせられたり、憲法二一条の保障する表現の自由を侵害する結果を招来しているとは到底認められない。いいかえれば、所轄警察署長の現実に付した条件のあり方が、デモ行進に対する道交法七七条一項四号による許可そのものを違憲とするものでもないことが明らかである。なお、証拠番号三、(七)69ないし73、五、1の各証拠によれば、祭礼やマラソン等についてデモ行進と異なる条件が付されていることも窺えるが、各種の道路使用行為にはそれぞれの型態に即応した条件が付されるのは当然であつて、マラソンにおいては一部道路で自動車の交通が全面的に遮断され、デモ行進においては遮断されないということがあつても、そのことが直ちにデモ行進を不当に差別的に取扱つたことになるものではない。

(3) 道交法違反の取締りに名を借りた多数の警察官の現実の行動がデモ行進の自由を侵害しているとの主張について

この点、証拠番号一、二1ないし5、三、(七)69ないし73の各証拠によれば、被告人らおよび本件各デモ行進に参加した者らは、デモ行進に際して警察官らがことさらに条件違反行為を誘うような挑発的行動に出たり、違反行為の規制に名を借りてデモ隊列を混乱させ、あるいは参加者らの身体に暴力を加えたりしたことがある旨述べ、また、判示第二の犯行の際のデモ行進に伴ういわゆる坐込みの排除にあたつた当時の警察官の一人も、右排除に際し警察官らの一部がなんら理由のない個人的な暴行を参加者らに加えたことがある旨述べ、取締警察官らに一部この種違法行動のあつたことも窺われる。しかしながら、各デモ行進に対する全体としての警察の規制についてみると、証拠番号三1ないし18、22ないし68、四(一)4ないし11、(二)16ないし22、(三)24ないし35、(四)37ないし46、(五)48ないし51、(六)53ないし58の各証拠によれば、各デモ行進とも、かなりの数の私服警察官が現認採証(写真撮影)のためその全進路にわたつてデモ隊列に随伴して行動していることが認められるが、警察官らとしては各デモ行進とも当初より隊列についての条件違反行為があると判断したものであるから、右現認採証行為がデモ行進に対する不当な干渉になるということはできないし、また、右各証拠によれば、直接的にデモ隊列の取締りや規制にあたつたのは、いずれの場合も、原則として少数(二〇ないし三〇名程度)の交通警察官であつて、いわゆる機動隊は、要所に配置されて警戒にあたつていたとはいうものの、蛇行進等著しい交通混乱を生じる違反行為のある場合や解散地点で予定コースを逸脱して進行しようとした場合に実力規制を加えたにとどまり、進路全般にわたる並進規制等は加えていないことが明らかであるから、これらの取締り、規制の方法に違法不当なものがあつたということもできない。してみると、警察の取締りの実態すなわち道交法上の許可制の運用の現実がこれを違憲のものとしているとの弁護人の主張は、その前提においてすでに失当である。

(4) 以上要するに、判示各犯行にかかるデモ行進について、道交法七七条一項四号、細則一二条一号を適用することは、憲法二一条の保障する表現の自由に対するなんらの侵害となるものではないから、これが違憲であることを前提とする本件各許可条件違反の罪は成立しないとする弁護人らおよび被告人らの主張は、すでにその前提を欠き採用の限りでない。

二、次に、弁護人は、判示各犯行について、本件各デモ行進はいずれも全体としては平穏に行なわれ、デモ行進に通常伴う以上の交通混乱ないし渋滞を生じていないから、その間に若干の条件違反があつたとしても、可罰的違法性を欠く旨主張する。

しかしながら、本件各犯行はいずれも、「蛇行進」という、条件違反行為としては交通の安全と円滑に最も重大な障害を生じさせるおそれのある行為をしたものであつて、それ自体軽微ということができないのみならず、その犯行場所も、判示第一(1)の場合は、福岡市庁、福岡県警察本部などの各行政官庁が近隣に所在する公共の利用度の高い官庁街であり、その他の各場合も前記のように幹線道路として極めて重要な国道二〇二号線上であつて、とくに判示第二の天神町交差点に至つては福岡市における最大の交通の要衝であるから、これらの場所で行なわれた蛇行進に実質的な違法性がないなどと到底いうことができない。加えて、実際の交通に与えた結果をみても、証拠の標目挙示の各証拠によれば、判示第一の犯行の場合は、その(2)および(3)の蛇行進によつて西鉄市内電車が五、六分にわたつてその場に停止することを余儀なくさせられ、そのためバス、自動車も軌道敷を使つてデモ隊列を追越すことができなくなり激しい渋滞を起こしたことが認められ、判示第二の犯行の場合も、右のように天神町交差点で行なわれたため、同一方向に進む車両等のみならず、これと交差する道路を進行する交通も一時完全に停止するという事態を生じていることが明らかであるから、その実害の程度もかなり重大である。従つて、本件各犯行が可罰的違法性を欠くとの弁護人の右主張は失当であり、これを採用することができない。

第二部無罪部分の理由等

一、全部無罪の訴因について

(一)  本件各公訴事実の要旨

(イ) 被告人上村洋、同筑紫建彦および同久保善博は、昭和三八年五月二〇日午後二時半ごろから同四時半ごろまでの間、九州大学学友会が主催し同大学の学生ら約七〇〇名が参加して行なわれたF一〇五戦闘機の米軍板付基地配置等に反対する意思を表明することを目的とする、同市大濠公園一番一号所在の福岡地方簡易保険局南側児童遊園地から大濠町、荒戸町、天神町、因幡町、東中洲を経て同市呉服町に至る間の道路上での集団示威行進に際し、その指揮者として右行進に参加していたが、右行進については福岡県西福岡警察署長からその道路使用を許可するにあたり、隊列を「四列縦隊とする」および「蛇行進をしないこと」との条件が付されていたにもかかわらず、前記学生ら約七〇〇名と共謀して、その全進路にわたつて六ないし一二列位の縦隊行進をし、また、その間右中洲所在の金星堂書店前からヒツジや洋品店前に至るまでの道路上約九〇メートルにわたり蛇行進を行ない、もつて所轄警察署長が道路の使用の許可にあたり付した条件に違反した。(昭和三九年一月八日付起訴状記載の公訴事実第一)

(ロ) 被告人上村洋、同柿本和夫および同角文隆は、昭和三八年五月三一日午後三時ごろから同四時五〇分ごろまでの間、九州大学学友会が主催し同大学の学生ら約七〇〇名が参加して行なわれた右(イ)記載と同様の意思を表明することを目的とする、右(イ)記載と同一のコースを経て福岡市呉服町に至る間の道路上での集団示威行進に際し、その指揮者として右行進に参加していたが、右行進については前記福岡警察署長からその道路使用を許可するにあたり、「隊列は四列縦隊とする」との条件が付されていたにもかかわらず、前記学生ら約七〇〇名と共謀して、その全進路にわたつて六ないし一〇列位の縦隊行進をし、もつて所轄警察署長が道路の使用の許可にあたり付した条件に違反した。(前同起訴状記載の公訴事実第二)

(ハ) 被告人秋根康之および同筑紫建彦は、昭和三八年一〇月三一日午後二時半ごろから同四時過ぎごろまでの間、九州地方大学自治会連合が主催し同傘下の学生ら約二三〇名が参加して行なわれた原子力潜水艦の寄港等に反対の意思を表明することを目的とする、福岡市大濠一六五番地所在の米国領事館前から荒戸町、天神町、因幡町、東中洲を経て同市呉服町に至る間の道路上での集団示威行進に際し、その指揮者として右行進に参加していたが、右行進については前記西福岡警察署長からその道路使用を許可するにあたり、「隊列は四列縦隊とする」との条件が付されていたにもかかわらず、その全進路にわたつて六ないし一〇列位の縦隊行進をし、もつて所轄警察署長が道路の使用の許可にあたり付した条件に違反した。(昭和三九年八月一七日付起訴状記載の公訴事実第一、一)

(ニ) 被告人秋根康之は、昭和三八年一一月一一日午後七時五分ごろから同八時ごろまでの間、日本社会主義青年同盟が主催して行なわれた三池炭鉱犠牲者追悼の意思を表明することを目的とする、福岡市因幡町五番地所在の福岡市庁前から下警固、天神町、東中洲を経て同市呉服町に至る間の道路上での集団示威行進に際し、九州大学学生ら約一〇〇名とともにその指揮者として右行進に参加していたが、右行進については福岡県福岡警察署長からその道路使用を許可するにあたり、「四列縦隊行進のこと」および「蛇行進はこれを禁止する」との条件が付されていたにもかかわらず、右学生ら約一〇〇名と共謀して、その全進路にわたつて五ないし八列位の縦隊行進をし、また、その間同市薬院堀端七番地所在の自由民主党福岡県支部連合会事務所前からアメリカ文化センター前までの道路上約四〇メートルにわたり蛇行進を行ない、もつて所轄警察署長が道路の使用の許可にあたり付した条件に違反した。(前同起訴状記載の公訴事実第一、二)

(二)  当裁判所の判断

(イ) 前記(一)(イ)記載の公訴事実については、証拠番号三、(二)22ないし41、四、(二)12ないし22の各証拠によれば、蛇行進をしたとの事実を除いて、右公訴事実にほぼ相応する事実(ただし、縦隊行進の隊列は六ないし一〇列位)を認定することができる。

しかしながら、隊列を定める条件に違反したとの点は、前示弁護人等の主張に対する判断一、(2)(ハ)、で詳細に述べたとおり四列縦隊と定めた条件そのものが道交法七七条三項の要件を欠く無効なものと解されるから、同項違反の罪(道交法一一九条一項一三号)の成立の余地なく、罪とならないものである(なお、国道二〇二号線を進行する際の条件としては四列の隊列の条件が必要限度を越えるとしても、他の狭い道路を進行した部分については有効ではないかとの疑問については、右隊列についての条件は、全進路に不可分のものとして定められており、前述のような理由でこれが無効である以上、特定区間に限つて有効と解する余地はない。)次に蛇行進の点については、これを禁止する条件が有効であることは前述したとおりである。しかしこの点、証拠番号三、(ニ)24、35、36、39の各証拠によれば、たしかに現認警察官らは、訴因記載の金星堂書店前からヒツジや洋品店前に至るまでの道路上約九〇メートルにわたり被告人らが蛇行進した旨述べるのであるが、証拠番号四、(二)16、17、20ないし22の各現場写真の撮影報告書によれば、金星堂前で右へ寄つて軌道敷内に入つたのは進路前方左側端に停車していたバスを追越すためであつたことが明らかであり、また、右ヒツジや洋品店前附近に隊列前部が差しかかつたころ、隊列の中間以後が同店西側の北方に通じる道路にややふくらんでいることは窺えるものの、隊列全体としては波形となるというより所々に瘤状のかたまりができた形にとどまつていることが認められ、さらに、右各写真撮影報告書および証拠番号三、(二)35の証拠によれば、被告人らの属していた隊列先頭部分附近は、蛇行進に移ろうとする気配をみせたものの、直ちに交通警察官らの規制を受けて、むしろ左方へ押され、これまで通常の縦隊行進によつて占めていた左側車道の幅を越え軌道敷に入るほどには右に揺れて進行することが結局できなかつたものと認められる。してみれば結局、右各証拠を総合して考えれば、右訴因記載の場所においてデモ隊列が若干左右に揺れたことは肯認できるものの、一部は正当な原因によるものであり、その余の部分ではいまだ本条件によつて禁止された蛇行進といいうる程度まで波動していなかつたものと窺われ、本件全証拠によるも、他に本件場所において蛇行進が行なわれたことを認めるにたりる資料はない。

従つて、前記(一)(イ)記載の公訴事実については、隊列についての条件違反の点は罪とならず、蛇行進禁止の条件違反の点はその犯罪の証明がないに帰するから、各刑事訴訟法三三六条に則り、被告人上村、同筑紫および同久保に対し無罪の言渡をすべきものである。

(ロ) 前記(一)(ロ)記載の公訴事実については、証拠番号三、(三)42ないし51、四、(三)23ないし35の各証拠によれば、右公訴事実にほぼ相応する事実が認定できるが、隊列を定める条件に違反したことは、右(イ)で述べたと同一の理由により罪とならないものであるから、各刑事訴訟法三三六条に則り、被告人上村、同柿本および同角に対し無罪の言渡をすべきものである。

(ハ) 前記一(ハ)記載の公訴事実については、証拠番号三、(四)52ないし58、四、(四)36ないし46の各証拠によれば、右公訴事実にほぼ相応する事実が認定できるが、隊列を定める条件に違反したことは、右(イ)で述べたと同一の理由により罪とならないものであるから、各刑事訴訟法三三六条に則り、被告人秋根および同筑紫に対し無罪の言渡をすべきものである。

(ニ) 前記(一)(二)記載の公訴事実については、証拠番号三、(五)59ないし62、四、(五)47ないし51の各証拠によれば、蛇行進をしたとの事実を除いて、右公訴事実にほぼ相応する事実(ただし、縦隊行進の隊列は六ないし七列位)を認定することができる。しかしながら、隊列を定める条件に違反したとの点は、右(イ)で述べたと同一の理由により罪とならないものである。

次に蛇行進の点について検討するのに、まず、右各証拠によると、訴因記載の自由民主党福岡県支部連合会事務所(以下「自民党県連」という。)前の道路状況は、自民党県連前を東西に走る幅員一〇メートル前後の道路があり、自民党県連の西側にアメリカ文化センターが所在し、その正面において北方に向う幅員約一七メートルの道路が分岐する三差路交差点となり、北方へ向う道路の東南角(自民党県連の道路を隔てた北側)に町村会館が所在するというものであつたところ、本件デモ隊列の全体としての進路は、南北に通じる道路を道路東側寄りに南進し、町村会館に沿つて左折していつたん東へ向い、自民党県連の東端附近でUターンし、道路南側寄りに西進したことが認められる。そして、現認警察官である安田梅雄は被告人を含む学生梯団一〇〇名位の先頭部分がUターンの直後から道路幅一杯のジグザグ行進を始め、一部が渦巻き行進となり、文化センター中央附近までの三〇メートル位これを続けた旨供述し(証拠番号三、(五)60)、同じく嶋田修次郎は、被告人らは町村会館に沿つて左折するところから蛇行進を始め、Uターンをしてからは道路一杯のジグザグ行進と一部分渦巻き行進となつた旨述べ(同番号三、(五)59)、同じく鴫山宗雄も、具体的ではないが、右場所でジグザグ行進の行なわれたのを現認したという趣旨の供述(同番号三、(五)61)をし、これらの供述からすれば、右場所で蛇行進の行なわれた事実を肯認することができそうである。しかしながら、右各供述相互間とりわけ安田の供述と嶋田の供述との間には微妙な喰い違いがあり、証拠番号四(五)48ないし51の各現場写真の撮影報告書と各右供述とを対比するとかなり大きな喰い違いがあつて、例えば同番号四、(五)48の写真一枚目から八枚目までによると隊列の揺れが始まつたのは午後七時一六分ごろアメリカ文化センター前附近においてであるように見え、また、同番号四、(五)50の写真一枚目から九枚目までによると午後七時一四分ごろ被告人らの梯団がUターンした直後にはさほど混乱は生じておらず、同七時一八分ごろアメリカ文化センター前で激しい混乱が生じていることが窺われ(ただ、この写真撮影報告書自体において疑問であるのは、その写真一枚目=同七時一四分ごろ自民党県連前で撮影と付記されている=において被告人秋根を含む学生先頭部分がすでに自民党県連前をこれに沿つて西進している状況が撮影されているように見えるのに、その後に撮影されたと窺える三枚目にデモ隊後部の学生デモ隊がUターンした直後と付記されていることである)、これらの証拠をも総合して考えれば、その際自民党県連前からアメリカ文化センター前にかけて被告人らを含む学生梯団が混乱を生じさせたことは認められるとはいえ、それが果して蛇行進によるものか渦巻き行進をしたものか、またはその他の原因によるものか、また、仮に蛇行進をしたとしてもそれが被告人秋根の誘導する先頭部分からであるか、隊列の後半部分のみがしたものであるか確定することができず、結局、本件全証拠によるも被告人秋根が右学生ら一〇〇名位と共謀して蛇行進をしたとの事実を認定することにはいまだ合理的な疑いが残るというべきである。

従つて、前記(一)(二)記載の公訴事実については、隊列についての条件違反の点は罪とならず、蛇行進禁止の条件違反の点はその犯罪の証明がないに帰するから、刑事訴訟法三三六条に則り、被告人秋根に対し無罪の言渡をすべきものである。

二、判示各犯行にかかる訴因のうち有罪の認定をしなかつた部分について

(一)  判示第一の犯行にかかる訴因の公訴事実(昭和三八年四月一一日付起訴状記載の公訴事実)には、判示認定の条件に違反して蛇行進をしたことのほか、被告人上村および同柿本が判示学生らと共謀してその全進路にわたつて所轄警察署長の付した四列縦隊行進という許可条件に違反して八ないし九列の縦隊行進を行なつた事実が含まれている。そして、証拠番号三、(一)1ないし21、四、(一)1ないし11の各証拠によれば、判示デモ行進において同被告人ら参加者がその全進路にわたつて八ないし九列の縦隊行進を行なつた事実は明らかであるが、前記一、(二)(イ)で述べたと同一の理由により、右隊列についての条件違反の点は罪とならないと解すべきものであるから、この点有罪の認定をすることはできない。もつとも、右事実は判示第一の罪と包括的に一罪を構成する関係にあるから、この点について被告人上村および同柿本に対し特に主文で無罪の言渡はしない。

(二)  判示第二の犯行にかかる訴因の公訴事実(昭和三九年八月一七日付起訴状記載の公訴事実第一、三)には、判示認定の天神町交差点における蛇行進のほか、被告人秋根が判示学生らと共謀して判示条件に違反し午後三時二五分ごろ自民党県連前の道路上約一一メートルにわたり蛇行進をしたとの事実が含まれている。

そこでこの点検討するのに、証拠番号三、(六)64ないし68、四、(六)53ないし58の各証拠によれば、判示四月二八日午後三時二五分ごろ判示自民党県連前附近の道路上において、判示デモ行進の隊列が全体的には二、三回左右に大きく揺れながら北側から南側に道路を斜めに横断したこと、その間の進行距離が約一〇メートルであつたこと、および、被告人秋根は隊列の先頭列外で隊列に正対し、その先頭隊伍が横に構えて携行する竹竿を掴み、自らは後退する形で隊列を誘導していたことは肯認できる。しかしながら、右各証拠によれば、左右に揺れ動いて蛇行進の型態を現出したのはむしろ隊列の中央より後方部分が主であることも明らかなところ、右先頭隊伍にいて被告人秋根と相対して右竹竿を掴んでいた岡本悳也は、後方の隊列員の意思は知らないが、デモ隊先頭部としては蛇行進をする意思は全くなく、自民党県連の側に寄つて抗議のシユプレヒコールをするために道路北側から南側の方へ移行したにすぎない旨供述し(証拠番号三、(七)71)、現認警察官らも「それまでは大体道路の中央線よりちよつと左の方を行つておりましたけれども、文化センター前附近からデモ隊は自民党県連前の方へ方向を変えました」旨(証拠番号三、(六)67)、また、「先頭部分はアメリカ文化センター前附近で大体まつすぐ右斜めに道路を横切つた」(証拠番号三、(六)65、68)旨、ほぼ右岡本の供述に符合する供述をしているから、被告人秋根自身が蛇行進をしていないことは明らかである。そして、本件全証拠によるも、外形的に蛇行進をしたと目される後方隊列の学生らと被告人秋根との間でその蛇行進をするについて共謀が存在することを窺わせるなんらの証左も見出せないから、結局、同被告人が自民党県連前で蛇行進をしたとの事実はその証明がないというほかはない。

してみると、この点犯罪の証明がないことに帰するのであるが、右はもともと判示第二の罪と包括的に一罪を構成する関係にあるから、これについて被告人秋根に対し特に主文で無罪の言渡はしない。

(三)  被告人秋根に対しては、昭和三九年八月一七日付起訴状記載の公訴事実第二として、「同被告人は、判示第二記載の集団示威行進の際、同記載の自民党県連前の幅員約九・五メートルの道路上において、同記載の日の午後三時二六分ごろから約九分間にわたり、同行進参加の学生ら二〇〇名位と共謀して、同被告人の指揮のもとに、幅約六・三メートル、長さ約八・三メートルにわたる半円形に坐込み、もつて交通の妨害となるような方法で坐込んだ」との事実が訴因に掲げられている。

そこで検討するのに、証拠番号三、(六)64ないし68、四、(六)53ないし58の各証拠によれば、被告人秋根は、判示第二記載のデモ行進に参加して、判示四月二八日午後三時二六分ごろ判示自民党県連前に至つたのち、同玄関前の幅員約九・五メートルの道路上において、その際行なわれた警察官らの規制を契機として、同被告人の合図に基づき同行進参加の学生らのうちの約一〇〇名と意思を共通にして共謀のうえ、そのころから約五分間(最終的に全員が排除されたのは一〇分後位)、半径約五メートル位の道路中央に突出する半円形にその場に坐込んだ事実が認められるから、右公訴事実に相応する外形的事実の存在はこれを肯認できる。

ところで、検察官は、右事実が道交法一二〇条一項九号、七六条四項二号に該当するものとして、右法条を罰条に掲げている。しかしながら、証拠番号四、(六)52の道路使用許可申請書謄本によれば、判示デモ行進については、所轄警察署長がその道路使用の許可にあたり「蛇行進、うずまき行進、フランス式デモ、立ち停り、坐り込み等交通の妨害となる行為をしないこと」という条件(許可条件表六(3))を付しているから、右のように当該デモ行進の際にその一貫した集団行動の一つとしてなされた坐込みは、右条件に違反する行為となつて、道交法一一九条一項一三号、七七条三項の罪の成立することが考えられる。そこで問題は、この道交法七七条三項の条件違反の罪と同法七六条四項二号違反の罪との関係であるが、一般的に、デモ行進について道路使用の許可を要するとすることが合理性を持ち憲法違反にしないと考えられるのは、前示弁護人等の主張に対する判断一で詳述したように、それが道交法の本来予想する通行方法としては「歩行」でありながら、デモ行進の本質上それは集団の特性を生かした交通型態をとらざるをえず、その結果当該道路における全体としての交通の安全や円滑のためにこれを一般の歩行者の通行とは異なる交通規制に服せしめる必要があるということにあつたのであるから、これを逆にいうと、当該デモ行進の参加者らは、当該デモ行進という集団行動の一部としてなした行為については、道路使用の許可およびこれに伴い付された条件という集団的交通の特性に基づいた規制に服しかつこれに違反した責任を問われれば足り、個々人として一般の歩行者等が遵守すべきものとされている規定の違反について責任を問われることはないというべきである。例えば、道交法第一章、第二章等に個々の歩行者等の通行などに関する規定が置かれているが、デモ行進に対しては、その道路使用において付された条件と矛盾する限り当該規定の効力はないと解されるし、また、矛盾しない規定についても集団としての違反がある場合にその責任を問われるにすぎないものと解される。そして、このような見地から本件坐込みについて考えると、七六条四項二号で定める「交通の妨害となるような方法ですわり」とは、まさに個人的意味で当該行為者の道路上で坐るという行為が「交通の妨害となるような」ものであるときにこれを禁止する趣旨であるのに、本件について定められた条件は、集団として坐込むことがそれ自体交通の妨害となるおそれのあることからこれを禁止したものと解されるから、結局、本件デモ行進参加者らがデモ行進の際に集団として道路上に坐込んだときは、条件違反の罪のみ成立し、その個々の者の坐込みの態様が交通の妨害となるようなものであるかどうかを問うことなく道交法七六条四項二号違反の罪は成立しないものと解するのが正当である。

以上の次第で、本件坐込みの点は、条件違反の事実としてはともかく、道交法七六条四項二号違反の事実としてはこれを有罪とすることができず、また、条件違反の事実を認定するには訴因罰条の変更の手続を必要とするところ、なんらその変更手続がとられていないので、本件訴因については結局その犯罪の証明がないものとしなければならない。もつとも、この点は右に述べたことから明らかなように本来は判示第二の罪と包括的に一罪を構成する関係にあるから、右につき被告人秋根に対し特に主文で無罪の言渡はしない。

よつて、主文のとおり判決する。

別紙証拠関係一覧表、許可条件一覧表(略)

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